全ての人が輝く職場に!イーリスのニュースレター
ハラスメントの背景②
ハラスメントの背景には、多様な価値観・多様性の理解の変化があります。さらにこの変化の背景には、グローバル化、人口減少など、社会環境の変化が大きく関わっています。例えば江戸時代は国内で外国人に出会うことは皆無、またはほとんどない状況でしたが、ほんの150年で外国人に出会うだけでなく、一緒に働くこと、友人など交友関係の一部になっていることが当然に存在しています。実はこの70年あまりで、外国籍の方の居住者数は6倍近くに増えました。2000年の統計と比べても2021年で6割増となっており、近年の増加が特に顕著です。急速な変化に、個人レベルでは多様性に馴染む人、慣れない人の差が生ずるのも致し方ないでしょう。筆者は小学校低学年の時、母の友人の外国人女性が家にやってきて「挨拶として」急に抱きしめられて軽い不快感を覚えました。50代以上の世代では、親に日常的に抱きしめられる、ということは少なかったのではないでしょうか。
それが、初めて会う知らない「外国人」のおばさんに、満面の笑顔で抱きしめられることに全く慣れておらず、動揺してしまったのです。その後、就職した企業では、外国人は同僚になり、外国人の友人もでき、生活習慣や考え方の多様性は、拒絶ではなく興味や受容になっている、と感じています。しかし、宗教や生活習慣は国や民族・居住地域ごとに存在しており、100%受容できているか、といえば甚だ怪しい、と言えます。さらには「外国人」という属性とは別に、当然ながら個人的な思想、考え方、習慣があります。これは日本人、という括りでも世代・職歴など多様で、一人として全く同じではなく、同僚や仲間として相手を受容しようという意識が無くては違和感や拒絶を感じえないでしょう。職場のハラスメントは、周囲は自分と同質・同様の価値観である、という誤った意識から生じることもあります。人それぞれに価値観があることに意識を向けなければハラスメント防止を本当に理解することにはなりません。そのためにも定期的にセミナーや研修などで意識を呼び起こすことが必要になるのだと思います。

ハラスメントとメンタリング
メンタリング、とは、メンターが行う支援のことです。メンターとは、経験豊富なベテラン・師を指し、海外の著名な経営者などには必ずメンターがいる、と言われています。語源は、ギリシャの叙事詩に登場する、若い王子の活躍を助けた教育係です。
メンターの支援は主として対話によって行われますが、同じく対話の支援であるコーチングとの違いは、設定した目標に向かって、設定した道筋や、着地点と異なったプロセスや結果となっても、相手(メンティー)のキャリア全体や人生にポジティブな影響を与えることを良しとすること、でしょうか。
メンターからメンティーに、メンターの持つリソースを必要に応じて提供する点や、仕事に限らずメンティーのキャリア全体や人生における「あり方」がよりよくなることを支援する点でコーチングと違いを感じます。
評価者としての上司は被評価者に結果やパフォーマンスの正当性を求めてしまいがちであることから、上司と部下間ではメンター制度の運用を避けることが多いのですが、部下のよりよい成長を願って自らのリソースを提供して支援する「メンタリングマインド」は、部下・上司の関係性にぜひ取り入れたいものです。
メンタリングでは、相手の成長を信じてメンター自身の人脈・ノウハウ・情報・資料・経験などを提供します。指示や指導と捉えられがちですが、提供したリソースを相手が利用しようがしまいが、成長の一助になることを喜びにすることから、メンターの支援は、その瞬間・その時期に限らず一生を通してメンティーの成長の糧になっていくのです。
指示・指導にメンタリングマインドがあればハラスメントと言われる余地はないでしょう。