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リスキリング

4月は研修が多い時期です。新入社員、新任管理職、担当替えのあった社員など、様々な研修が行われています。我が国でも「人への投資」を謳ってリスキリングなどの学びなおしや新たな能力の開発に力を注ぐ人達を後押しする施策を設けています。この「スキリング」主な狙いとしては、今後、更なるデジタル化によって見込まれる新たな職業や、従来の仕事の進め方が大きく変わる職業など、新しい職業等に当たる人材を創出することです。そのためには社内にない知識を得るための一定の教育時間が必要になります。

ところが、日本では、他の国と比較して企業も労働者個人も人材投資に消極的と言わざるを得ない状況です。企業においては、OJT以外の人材投資は米国の20分の1,イタリアや英国の約10分の1程度に過ぎず、社外学習や自己啓発を行っていない人の割合は46.3%で、香港やシンガポールの3倍近く、台湾・韓国の4倍に当たります。実は、マレーシア、フィリピン、中国、タイ、

インド、インドネシア、ベトナムには5~10倍の差をつけられていますから、深刻さは明らかです。日本はアジアでもっとも勉強しない国の一つになっているのです。そんな環境でリスキリングを進めるには、どんな対策が必要でしょうか?昨年発表された「人材版伊藤レポート2.0」では、企業における人材戦略の一つとして「リスキル・学びなおし」を取り上げています。企業においてまずは、その事業・組織の持続・継続のため、他社との差別化、競争での優位を図る人材戦略としてリスキリングを進めることが重要となります。また、個人に対しては、新たな知識を習得することについての重要度の理解と機会を付与することが必要です。

ある社員20名足らずの製造業の企業経営者から「うちでは、工場で働いている社員にもデジタルリテラシーを身につけてもらいたいのでPC購入の補助金を出して購入してもらった。会社のPCも家に持ち帰って使ってもらい在宅勤務ができるように整えた。これからは必要ですからね」というお話をききました。放っておいても変わりません。トップの働きかけが重要になるのではないかと思います。

ハラスメント歳時記 5月

職場を出るとまだ明るい、と感じるようになりました。今年は5月6日が立夏で、5月は暦の上では夏の始まりです。季節は確実に進んでいますね。新年度に新入社員や人事異動があった部署では、いわゆるオンボーディング(日本能率協会によると新入社員を企業にとって有用な人材に育成する施策やプロセスのこと)の真っ最中なのではないでしょうか?「組織になじませる力」(尾形真実哉著 アルク出版)によると、新卒のオンボーディングと中途採用のオンボーディングでは、中途採用のほうがより注意が必要とあります。中途採用者を“即戦力”として迎え入れ、新卒者よりも入社時の研修期間が短かったり、なかったり、という企業も多いのではないでしょうか?しかし、実際は、中途採用者にはいわゆる“脱色工程”、つまり、前職のクセや新しい職場に不要な情報・技術・作業プロセスなどについて、まずは不要と要の選別を認識してもらい、その上ですでに身についている技術や知識を存分に新しい職場で使ってもらうことから、新卒よりも本来ひと手間かかる、というのです。京都市内にある精密金属加工の中小企業では、大手企業を定年で退職した社員を多く雇入れていますが、まず半年は各拠点で「好きに過ごさせる」と社長が言っていました。中途採用者は自分の技術やノウハウがどのように生かせるか観察するもよし、社員とコミュニケーションをとるもよし、半年もたつと、自然に馴染んで存分に能力を発揮し始める、ということでした。そういった中途採用者は、前職では入社した会社の全社員よりも多い部下を管理してきたような大企業出身者でもあり、本来の能力は高く、中小企業も期待をもって雇入れています。せっかく入社した”即戦力“が期待にかなう働きをするには、企業側にも工夫が必要でしょう。