全ての人が輝く職場に!イーリスのニュースレター

ハラスメントの背景④

ハラスメントの背景として、様々な変化について取り上げてきました。

まとめると、変化に対応したり受容するスピードや程度が人によって異なるため、多くの職場でハラスメントやハラスメント未満の小さなコンフリクト(葛藤)が生じている、ということでしょうか。経済の発展や、組織の目ざすところ、それぞれのメンバーの役割、メンバーの多様性、消費者の多様化に伴う商品やサービスの再定義、パンデミック対応も含め、短期間に大きな変化に直面する企業は少なくありません。このような時代だから仕方ない、で片づけることもできず、企業は対応を迫られます。東京商工リサーチの2021年の集計によれば、企業の平均的な寿命は34年だそうです。また、倒産した企業の平均寿命は24年弱で、10年の差があるそうです。人間に目をむけると、日本人女性の平均寿命は約87.6歳、男性は81.5歳(厚生労働省簡易生命表令和3年)です。このうち、仕事をする期間、つまり職業人生は高校や大学を卒業してから定年までの約40年あまり。ここから、実は定年まで一つの会社で勤め上げる、のは難しい、と考えられます。業種の偏りがあるとはいえ変化の時代だからこそ、興味深い数字です。厚生労働省の資料によると、1950年の日本の平均寿命は女性61歳、男性は58歳でした。とすると、多くの会社で55歳定年が採用されていた1998年前(法改正で定年が60歳に引き上げられた)、働き手の中心であった男性は、定年後の余命がたった3年だった時代があったのです。アニメ「サザエさん」は1940年代から新聞に連載されていたマンガをアニメ化したものですが、テレビ放送が始まった1969年はまだ55歳定年の世の中。一家の主、波平さんの年齢設定は定年間近の54歳で、当時の男性の平均寿命は69歳でした。社会保障制度の強化もあり、年金の支給開始年齢が引き上がり、70歳定年が努力義務となっています。今後、職業人生はますます長くなっていくことでしょう。変化に対応できる組織かどうか。ここから持続する企業、大きな方向転換をする企業、残念ながら無くなる企業に分かれていくことも考えられます。皆さんの企業はこの10年どのような変化がありましたか?そして対応はできていますか?

ハラスメント歳時記 4月

いよいよ新年度。4月はやるべきことが盛りだくさんですね。新入社員や配置転換者にとっては、緊張や自身の希望・予想とのギャップに悲喜こもごも、といったところでしょうか。

マネジメントとしては、新メンバーに一日でも早く戦力となって活躍してもらえるようにサポートする必要があります。そのために第一に確認したい「アカウンタビリティ」をご紹介します。責任や報告義務、と訳されます。割り当てられた職務や業務の範囲と内容の説明と併せて、その責任の範囲と誰に報告するかを明確にします。新入社員や配転者にはOJTを施しますが、担当する業務・職務の責任の範囲や報告先、報告事項の説明はマネジメント層との“契約”をもってコミット(約束、責任を以て取り組む)しなければなりません。大事な報告義務について「これは○○課長に提出、このフォーム使ってね」など単なる作業引継ぎでは、自分の責任とひも付けて当たることができません。自分の責任の範囲やレベルが不明なままでは、新メンバーは目標に対して業務・作業レベルでどこまでやっていいか迷うことになり、なかなか馴染めません。

ご相談のあったケースで、それまで小さな部署で課長と本人の2名だけ、責任の範囲が課長と明確に区別されていた社員が、日々の業務の責任があいまいになっている開発チームに異動したとたん、何をしていいかわからず途方にくれ、出勤が苦痛になった、ということがありました。ルーチンの作業はある程度決まっているものの、これをやってね、と任された作業が部署目標と紐付かず大勢の中で自分がひどく未熟に思えた、というのです。特に異動によって実績や経験ゼロからの再スタートととらえる社員もいます。アカウンタビリティの説明は効果的でしょう。