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ハラスメントの背景③
ハラスメントの背景は様々ありますが、職場のハラスメントについての認知度が上がったことも一因と言われています。以前は“ハラスメント”という言葉自体使われることもありませんでしたし、半ば“当たり前”“我慢すべきもの”になっていたため、わざわざ取りざたされることもなかったかもしれません。厚生労働省が令和4年7月に発表した「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに寄せられる相談124万2,579件の内、民事上の個別労働紛争相談(トラブルの解決を求める相談だったもの、の意味)件数が28万4,139件、その中でもいじめ・嫌がらせは86,034件、と4分の1を占めており、10年前と比べ、3万件程度増加しています。他の相談内容はほぼ横ばいなので、いじめ・嫌がらせの増加は群を抜いて顕著です。
実は、職場のいじめ・嫌がらせについて厚生労働省が検討のための円卓会議を初めて開催したのが平成23年7月、4年に一度行われている実態調査(「職場のハラスメントに関する実態調査」)は翌年、第1回調査が行われており、円卓会議、実態調査いずれも “急増している状況を鑑みて“ 行われています。セクシャルハラスメントはこれより前、平成9年に企業の防止対策が配慮義務になり、平成19年度に義務化されました。その年、都道府県労働局に寄せられた均等法関連の相談件数のうち、セクハラについての相談は改正法が発布される前2年と比べて約2倍の件数にのぼり、平成16年度から平成28年度の12年間の中でも最高値を示しています。前出の個別労働紛争解決制度は、集団的労使紛争を対象にした労働関係調整法等では解決されない個別の労働条件等の解決を目的に、平成13年に成立した法律です。ちょうどこの頃、労働組合の組織率が20%を切っており、労働者の相談先が労働組合から労働局にシフトしたともいえるかもしれません。法改正や新制度の周知、利用状況などの報道など、認知度が上がったことは十分に考えられます。

ハラスメントと認知の歪み
人には考え方のクセ、があります。経験や学習したことから備わっていることが多く、長く培っていることもあり、誰かに指摘されなければ気づきにくいものです。しかし、周囲とどうもかみ合わないな、と思ったら、考え方に「クセ」や「偏り」があることを疑ってみるのもいいかもしれません。
認知の歪みには、根拠が乏しいにも関わらずあることを信じ込み、独断的に物事を推測し判断する(恣意的推論)、常に白黒つけたい(二分割思考)、自分の関心がある事にのみ着目し、あいまいに結論付ける(選択的抽出)、自分の関心事は過大に、自分の考えに合わないことは、過小にとらえる(拡大視・縮小視)、わずかな事実だけで、決めつける(過度な一般化)、その時どきの自分の感情で現実を判断する(情緒的理由づけ)、悪い出来事はすべて自分のせいにする(自己関連づけ)などがあります。
どれも他人からみたら理解しがたいのですが、本人は信じて疑わないため、扱いに窮します。
会う機会の少ない相手であればよいのですが、同僚や上司・部下ではそうはいきません。新人教育で仕事の手順や処理の仕方が育成担当者とチームのリーダーで異なるなど、トラブルも聞きます。チームとして何を基本にするかマニュアルなどで決まっていればもう少し対処のしようがありますが、忙しいところほどマニュアルが古かったり、なかったりします。
まずは、相手の言い分、主張を聞き、そのうえで具体的、客観的な事実に着目して、自分としてはどのように考えるのかを伝えることで、相手とすり合わせをし最適解を導くことが第一歩です。相手を頭から否定することは、相手をかたくなにしてしまい逆効果です。ここでも、傾聴力が役に立つでしょう。