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セクハラか、自由恋愛か

職場におけるセクシャルハラスメントの防止措置の義務化は、職場におけるハラスメントの中でもいち早く義務化されました。それから四半世紀近くたって、企業の防止努力も更に進んでいるところです。昨今は、ジェンダーに関する意識も高まり職場のセクハラ防止対策も、多様化しています。また、職場では、業務に関連のない図画や話題等を持ち込まない、異性で2人きりにならない、など徹底されてきているよう見受けられます。

しかし、難しいのは「社内恋愛」です。当然ながら、自由な恋愛を企業が禁止することはできません。しかし、何をもって自由というのか、同意があれば即ち自由なのか否かを認識していないと、セクハラ判断を誤ることになりうることも忘れてはいけません。特に相談対応に当たる窓口相談員や人事・ハラスメント調査や判断を行う人員は、様々なケースを想定する、訴え出た相談者の気持ちに寄り添い、丁寧にヒアリングをすることが求められます。

たとえ拒絶するそぶりがなかったり被害社員から行為上司に高価な贈り物をしても、社内恋愛や不倫関係を基礎づける事実にならない、と判示されたケースもあります。被害社員は、上司部下の関係はもちろん、同僚との友好関係を保つために、抵抗に対する抑圧が働き、必ずしも身体的抵抗という手段をとらないことがあるという研究論文もあります。2018年に話題になった財務省官僚による、女性記者へのセクハラ事案の際、日本経済新聞社が20~50代の女性労働者1000人にインターネットで行ったアンケートでは、セクハラを受けた時に我慢した、何もしなかった、という回答が70%にも上りました。その理由として「仕事に悪影響がでるから」と回答した労働者が最も多かったことも、前出の研究論文が裏付けられる結果となっています。こうなると、イヤ、と言わなかった、断らなかった、我慢したことが悪いこととは言えず、むしろ会社への忠誠心や、同調バイアスと言えます。第3者の目には自由恋愛の破局、自業自得、と見えることでも相談申出者が居づらさ、やりにくさを感じていることは事実です。どのような事実があり、何を求めているのか、丁寧にヒアリングし相手の気持ちに寄り添う対応が必要です。

ハラスメント歳時記 8月

二十四節気では小暑(7月7日ごろ)から立秋(8月7日)ごろが1年のうちで最も暑さの厳しい季節、とされ、夏の疲れも8月はピークに達します。

夏季休暇を取られる方は、夏の疲れを癒す機会にもなって、理にかなっていますね。

ところで、夏季休暇、年末年始の休暇も含め週休2日なども、設定していない企業も多くあります。

しかし、この休暇関連の制度は、「週休2日じゃないからブラックだ」と耳にしたり、「うちは零細だから有給休暇はない」など誤解もあり、たびたび制度の説明をすることになります。

少し細かな話になりますが、企業は、労働者にどれくらいまで働いてもらえるかの解説をしますと、労働基準法で定められた労働時間は、1日8時間、1週間40時間(特例措置適応事業場は除く)を上限としています(労使で36協定を締結すれば、月45時間、年間360時間まで法定労働時間を超えて仕事をさせることができますまた、『特別条項』を設定した場合は休日出勤を併せて年間720時間まで労働させることができます)。加えて、週に1日は休日を与えなければなりません。

ここから、年間の労働時間を計算すると、法定労働時間はおよそ2,085時間、これを1日8時間換算で計算するとだいたい260日で、月当たり22~21日、というところでしょうか。1日7時間であれば、297日分で、月24~25日です。週1日休日があればこのように出勤させることに何ら法違反はありません。夏季休暇や年末年始の休暇などはあくまで会社が任意に設定した休日です。

制度や法律を知らずに、ブラックだ、ハラスメントだ、というのは早合点、というものでしょう。